海外バイヤーさんをイラつかせてしまいました

 

こんにちは、東京の水玉オリジナルバッグブランド「Saori Mochizuki(サオリモチヅキ)」のデザイナー望月沙織です。

 

今日は、香港の展示会に出た時に、海外のバイヤーさんとのやりとりでちょっと失敗した時のお話しです。

 

うちのバッグを売ってもらうために、日本国内の雑貨店さんや百貨店のバイヤーさんと価格のお話しをする時は、基本

 

「掛け率は何割ですか?」

 

という話になります。

 

一般のお客様が最終的に支払う価格(小売価格/上代・じょうだい)の何%が、いわゆる卸値(下代・げだい)になりますか?という意味です。

 

例えば上代が1,000円で、掛け率が60%だと、下代は600円ということになり、

 

上代1,000円から、下代600円を引いた残りの400円がお店の利益ということになります。

 

なのでお店側としては掛け率が低ければ低いほど利益が高くなるということになります。

 

この掛け率は様々な条件で変わってくるのですが、わたくしくらいの規模のブランドですと、基本的には小売価格はどの店舗さんに対しても固定して、掛け率で各々の利益を調整するのが一般的です。

 

ゆえに、

 

「小売価格の何割で卸してもらえますか?」

 

というのが商談でのテンプレートフレーズになってきます。

 

一方で、海外の場合は、バイヤーさん側(お店側)が独自の小売価格をつけるケースが結構あります。いくらの利益を積み上げるかは、店が独自に判断するパターンです。

 

仮にうちが、

 

「卸値600円、小売希望価格1,000円」

(=店側の利益:400円)

 

と主張しても、

 

店側が

 

「うちの店では600円で仕入れて、1,500円で売りたい」

(=店側の利益:900円)

 

と判断すると、その値付けで販売したりするのです。

 

逆も真なりで、売れないとなると、途端にこちらの希望小売価格の半額くらいでセールをされてしまったりすることもあります(実際に過去に何度か経験しました、、、)。

 

もちろんこの辺りは、最初にこちらの希望を伝えてある程度それに沿った範囲の中で販売をしていただくという交渉も可能です(とはいえ、目が届かないので好き勝手やられることもたまにあります、、、)。

 

いずれにしても、こういった背景があるので、海外の商談の場では、上代がいくらで、その何割が掛け率で、、、みたいな話にはならず、ずばりと、

 

「私(バイヤーさん)はいくらで買えばいいの?」

「私に対する価格はいくら?」

 

と聞かれるのです。

 

そのあたりのことは重々承知していたので、海外に持って行く時の商品リストには毎回卸値(FOB価格というものになります)のみを掲載したものを用意していくのですが、商談の場で急に聞かれると、つい日本の慣習が口をついて出てしまうんですよね。。。

 

海外バイヤーさんから

 

「これいくら?(How much?)」

 

と聞かれたので、とっさに小売価格で

 

「OOO米ドルです」

 

とコタエたら、

 

「高いわね!!」

 

と言われたので、はっと気付いて慌てて

 

「今言った金額のXX%がFOB価格(卸値)です!」

 

と言ったら、

 

「私は自分が仕入れる時の金額が聞きたいのよ!なんで色々ややこしい計算しないといけないのよ!!」

 

と、まくしたてられちゃいました。。。

 

そのやり取りを側で見ていたコーディネーターの方が、

 

「いや日本では一般的にですね、、、」

 

と、あれこれ説明をしてくれていたのですが、あっそ、だから何??といった感じでプリプリと行ってしまわれました…。

 

まあ、もともと大してうちの商品に興味がなかったんだと思うんですが、そして単に「How much?」だけじゃなくて、「wholesale price(卸値)は?」とか聞いてくれてもよかったんじゃないか?など、色々もやもやしましたが、とりあえずいい経験にはなりました。

 

ちなみにこの日本と海外の習慣の違いの一番大きな理由は、商品を買取で取引をしてくれるかどうか、にあると思います。

 

もちろん日本国内にも買取で取引をしてくれる店舗さんはありますが、百貨店イベントなどは、とりあえず棚が常に埋まる量を用意して、会期末に残った商品は返送&売れた分だけ支払っていただくのが常です。

 

それに対して海外の場合は、通関の手間や関税の問題が発生しますので、基本は買い取ってもらう一択になります。

 

海外通販で失敗しました・その2

(関税のお話し等はこちら↑からどうぞ)

 

そうなると、

 

「うちが買ってうちのものになったんだから、煮て食おうと焼いて食おうとうちの勝手じゃ(店独自の判断で小売価格をつける)」

 

ということになるのです。

 

・・・と、そんなこんなも、コロナ禍になってしまった今から振り返ってみると、なんだか幻みたいです。

 

今年(2021年)3月に出た国内の展示会でも海外のバイヤーさんは皆無でしたし、わたくし自身が海外に出ていけるようになるのは一体いつになるのやら。

 

思い出して、色々切なくなった次第です。

 

東京「日常をドラマチックにする」バッグ

Saori Mochizuki

デザイナー 望月沙織

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