• デザイナーとしてシビれたこと/ドラマ「愛の不時着」

デザイナーとしてシビれたこと/ドラマ「愛の不時着」

 

こんにちは、東京の水玉オリジナルバッグブランド「Saori Mochizuki(サオリモチヅキ)」のデザイナー望月沙織です。

 

2021年のお正月早々、メインキャストの2人(ヒョンビン&ソン・イェジン)が「リアルでもカップルになった!」と話題をさらった「愛の不時着」

 

わたくしは主人公ユン・セリの、デザイナーとしてのある仕事っぷりに気持ちが射抜かれ、それこそ号泣ものでした。

 

おそらくあそこでそこまで泣く人は他にどこにもいないんじゃないかと思いましたが、それくらい印象的なシーンだったので、今日はそれについてお話ししてみようと思います。

 

<以下、ネタバレを含みます>

 

そのシーンは、本当に最後の最後、最終回(16話目)の後半の方に登場します。

 

ソ・ダンちゃんのママこと、平壌の百貨店おばちゃん(とわたくしは呼んでいました…笑)が、特権階級身分をいかしてヨーロッパを旅した際に、とある新商品を見つけて北朝鮮に帰ってきます。

 

それは「恋しさ」と名付けられた、セリズ・チョイスの限定品でした。

 

箱には、北朝鮮の村でお世話になった奥様方それぞれの似顔絵とイニシャルが添えられています。

 

それは、おそらくもう2度と会うことのない彼女たちへのユン・セリからのお礼を込めたメッセージです。

 

「元気でいるってことだわ」

 

「『大事に使わせてもらう』とお礼を言いたいのに、どこに言えば?」

 

と、天を仰ぎながらつぶやく北朝鮮の奥様方。

 

とてもとても切ないシーンでした。

 

そしてこれを見て、改めて、デザイナーって凄いことができる仕事なんだな、ということを実感しました。

 

わたくしも日々、誰かをハッピーにしたい、と思いながらバッグを作っているつもりではいましたが、ここまで強烈で、思いの乗ったものを作れているかと問われると、ちょっと言葉に詰まります。

 

どこか、「わたくしのメッセージは伝わっているのかな、、、、」「うちの商品なんて、誰も気にもとめてないんじゃないかな、、、」と半信半疑で作っている自分もいます。

 

もちろんそれが「売れる商品かどうか」という問題もありますから、単に思いを乗せれば良いというものでもないとは思います。

 

ただ、売れるかどうか、ばかりを考えて手を動かすと、結局どこの誰にも届かない謎なバッグが出来上がってしまう、ということもあるので、改めて、思いっきり振り切ってみてもいいのかもな、と思わせてくれた1シーンでした。

 

そして、こういうことをきちんと実現できるように、デザインのスキルを磨かねば、とも思いました(北朝鮮にいる間に、奥様方の写真を撮ったりできた訳ではないと思うと、似顔絵は記憶スケッチだよな〜、だとすると、結構な画力がいるよな〜等々、具体的に商品化するには、という目線で考えると、意外と簡単なようで難しい商品だぞ、、、なんてことも考えたりしました)。

 

何より、これをヨーロッパで見つけてちゃんと買ってくるソ・ダンちゃんのママが憎いですよね。

 

このシーンは、今までの設定やら伏線やらが一気に回収され、脇役含めた登場人物のすみずみまでもが生かされた部分でもあったので、そういう意味でも、わたくしの中では「愛の不時着」ベストワンと言ってもいいシーンでありました。

 

###おまけの撮影部長メモ###

どう考えても、カメラ複数台、もしくは何回か同じお芝居をやっているよな、と思うシーンがたくさんあるので、どんな感じだと思う??と撮影部長に聞いてみたら、

 

「カメラが複数台入っているシーンももちろんあるけれど、場合によっては7〜8回、同じお芝居をやらせているシーンもあるような気がする」

 

とのことでした(あくまでも、我が撮影部長の見解ですが)。

 

・・・愛の不時着、恐ろしい子!!!

 

東京「日常をドラマチックにする」バッグ

Saori Mochizuki

デザイナー 望月沙織

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