グロテスクの真空パック
こんにちは、東京の水玉オリジナルバッグブランド「Saori Mochizuki(サオリモチヅキ)」のデザイナー望月沙織です。
村上春樹さんの話しは続きます。
ところで村上春樹、と聞くと何が頭に浮かびますか??
「村上春樹」論については、今更わたくしが語るまでもありませんが、わたくしにとっての村上さんは、自分の大学時代とシンクロする人物です。
専修(学部)の先輩として君臨する人なので、在学中は嫌が応にも意識してしまい、当時は片っ端から読みました。
ちょうどこのころ大学生をやっていたので、ここに並んでいるものが一番馴染み深い作品かもしれません。
村上さんは、創作作家としてだけでなく、ノンフィクション作家・翻訳家としても活動されていますが、わたくしはどちらかというと前者は苦手で(苦手になってしまった強烈な理由があるのですが、それは後述します…)、後者の著作物の方が好みです。
それはもしかしたら、一番読んでいた時代に印象的なノンフィクション・翻訳作品が多かったからかもしれません。
「アンダーグラウンド」は、改めて見ると、事件のたった2年後(1997年)に出版されていたんですね。読んだ当時はそんなことは考えもしませんでしたが、よくそれだけの短期間にこんな分厚いものを書けたもんです。びっくり(どこから目線だ…)。
もう一つ、この時期に出版されている本で、今でもわたくしの手元にあるものの1つに「心臓を貫かれて」があります。
これはアメリカのノンフィクションを村上さんが翻訳したものですが、当時、心理学を専攻していた友人が「トラウマや家庭内暴力の話しとしては残虐な内容だけど、読んでみる価値がある」と勧めてくれたものです。
本当に凄惨な話で、その本の内容もさることながら「うわぁ…うわぁぁぁ…」とショックを感じながら読んでいる自分の姿・感覚が脳内にこびりついています。
そして凄惨といえば、冒頭に写真をはった「ねじまき鳥クロニクル」です。
わたくしはこの第1部(泥棒かささぎ編)を読んで、貧血を起こしてしまったことがあります。
忘れもしない、学校帰りの小田急線の中で立ちながら読んでいたのですが、作中で取り上げられているノモンハン事件のとある描写があまりに凄すぎて、全身の血の気が引き、車内で座り込んでしまったのです。
あんな経験をしたのは、後にも先にも人生であの時1回だけです。
以来村上さんの、特に創作系の作品はちょっと苦手になってしまいました。
またあんな頭をえぐられるような描写が出てきたらどうしよう、、、と思って。
ただ今書いていて気付いたんですが、なんだかんだでノンフィクション作品も強烈なんですよね。
というか、「ねじまき鳥クロニクル」のノモンハン事件パートは、完全なるノンフィクションではないにしろ、史実に基づいて書かれたお話しです。
そう思うと、村上さんの凄さは、人間のグロテスクな部分をしっかり直視でき、さらにはその鮮度を失うことなく真空パック状態で読者の目の前に差し出せるところにあるのではないか、と思いました。
今回、国際文学館で久しぶりにねじまき鳥クロニクルシリーズと対面したので、恐る恐る第1部をめくって探してみましたが、、、やっぱり存在していました、あの描写が。。。。
ネタバレになってしまうので、あまり書きませんが、未読で気になった方は、椅子にしっかりお座りの上、読んでみてくださいませ。
どうか貧血になりませんように。
はこちらから
12月のわたくしの個展販売イベントも、合わせてよろしくお願いいたします。
個展販売イベントの会場が決まりました<2021年12/18(土)〜19(日)@中目黒ギャラリー(NO DESIGN GALLERY)>
Saori Mochizuki 個展販売イベント
2021年12月18日(土)、19日(日)
開催時間:調整中(追って告知致します)
会場:中目黒ギャラリー(NO DESIGN GALLERY)
東京都目黒区上目黒1-7-2
(1LDKというセレクトショップの隣)
中目黒駅から徒歩3分
!!以前Accent Colorの実店舗があった場所とは異なります!!
東京「日常をドラマチックにする」バッグ
Saori Mochizuki
デザイナー 望月沙織