メタバースとXRとバッグデザインについて
こんにちは、東京の水玉オリジナルバッグブランド「Saori Mochizuki(サオリモチヅキ)」のデザイナー望月沙織です。
ここへきて、ちょっと落ち着いて「メタバース」について考えてみました。
「メタバース」の定義については詳しい人たちの間でも諸説あるようなのでググってもらうとして、単に字面を追ってるだけでは全く頭に入ってこなかったこの概念を、メタバースを支えているXRの技術を切り口に、
「それを使うとバッグデザイナーはどう儲かるの??」
という視点で考えてみることにしました。
まずそもそも、
Cross Reality とか
Extended Reality と言われるもので、文字通り、仮想と現実を混ぜる技術のことです。
以下でお話しするVR、MR、AR、SR、DRの総称がXRです。
Virtual Reality(仮想現実)の略で、100%ヴァーチャルな中で展開される世界のことを指します。
わかりやすい例としては、「どうぶつの森」とか、10年くらい前にめっちゃ流行ったアメーバピグとかがそうです。
バッグデザイナーとしては、この仮想空間の中に仮想バッグを作る、ということができます。
実際「どうぶつの森」の中ではいくつかバッグを作って(厳密にいうとバッグ単体は作れなかったので、お洋服やキャンバスにバッグの柄を描いて)、「どうぶつの森」(=仮想空間)の中で身につけたり、オンライン機能を使って配布したり、インテリアとして飾ったりしてました。
実際に売っているこちらのリボントートバッグ「Love Comedy(ラブコメディ)Sサイズ」を、
仮想空間(「どうぶつの森」)の中でこんな感じに表現しました。
ワンピースの上にバッグを柄のように描き、
そのワンピースをアバター(「どうぶつの森」の中のサオリちゃん)が着ると、実際にバッグを斜めがけしているように見えました。
Augmented Reality(拡張現実)の略で、スマホなどを通して、現実空間にヴァーチャルなものを表示することを指します。
「ポケモンGO」(=実際の道路にスマホをかざすを、スマホの中だけにモンスターが現れる)
や、
アプリの「SNOW」(=人の顔にスマホをかざすと、顔の上にヒゲやメガネなどが描かれたり、メイクが足された写真が撮れる)
などが好例です。
バッグデザイナーのわたくしが活用するとするならば、実際の人間の手や体にスマホをかざすと、バッグを試着しているように見える、などでしょうか。
実物の在庫がその場になくても、いろんな種類のバッグを見比べられたり、サイズ感を確かめたりすることができます。
販売イベントの時の輸送コストの削減や、ネットショッピングの時、お客さまが自分の手元で大きさなどを確かめることができるようになります。
Mixed Reality(複合現実)の略で、現実に軸足を置きつつも、世界がヴァーチャルとも融合しているもののことを指します。
これにはARの「ポケモンGO」のように、ぱっとわかりやすい例が存在しないのですが、イメージが近いものとしては、映画「STAR WARS」の中で、R2-D2がレイア姫のホログラムを映し出す、みたいな感じです。
バッグデザイナーのわたくしが活用するとするならば、例えばオーダーメイドバッグのご注文をいただいた時に、目の前にそのバッグのアバターを表示させてサイズ感をみる、などでしょうか。
現状であれば、試作を作らないと実際のサイズ感は確かめられませんが、数値を入れてアバターを出すことが可能になれば、その手間を省くことができます。
あとは(バッグの話からは離れますが)、例えば遠方に住むおばあちゃんの目の前に、成人式の振袖を着た等身大のお孫ちゃんを出して見せてあげる、なんてことも可能です。
いずれにしても、専用のグラス(「スターウォーズ」の中でR2-D2が担っていた部分のもの)などを使うことで可能になります。
ちなみにわたくしはこのMRの概念を理解することと、MRとARの違いを理解することが一番難しかったのです。
そしてこのSRも、一発で噛み砕けなかったのですが、、、
Substitutional Reality(代替現実)の略で、過去や未来、仮想(虚構)の情報を重ねることで、錯覚を引き起こすことを指します。
「(仮にヴァーチャルなものが混じっていたとしても)今見ているものは、現実におきていることである」と認識させる技術です。
これについては、当初どれだけ考えても「バッグデザイナーとして活用できること」が思い浮かばなかったのですが、1つとても良い利用事例を聞いて、なるほど、と思いました。
それは、
「過去のセール時の混雑した店内の映像とオキュラスゴー(VR映像を見られる機材)を使って、従業員研修を行った」
というアメリカのウォルマート(スーパーマーケット)の事例です。
混雑している時にどんな突拍子もないことが起こるかは、混雑時になってみないとわかりませんが、そんな大変な時に研修をやる余裕なんてありません。でもSRを使うことで、それをあらかじめ体感することが可能になります。
ウォルマート規模の混雑状況がわたくしのイベント時に訪れる可能性はとても低いですが、小売&接客という観点はわたくしの仕事においても重要なものなので、今後何かしらの活用方法が見いだせるかも、と、ほんのり頭の片隅に置いています。
そしてラストのDRは、Diminished Realityの略で、日本語に訳すと「減損現実」となります。
要はAR(拡張現実)の逆バージョンで、スマホや専用グラスを通してみた現実世界から、特定の何かを消し去ることを指します。
現状では繁華街に溢れる広告をシャットアウトするといったような方向性で検討されるケースが多いようで、これはHSP(ハイリーセンシティブパーソン=非常に鋭敏な気質を生まれ持った人)にはとても有意義な技術になる可能性があります。
ですが、これもSRと同じで、バッグデザインの現場に落とし込める事例が、現時点では簡単に思い浮かびませんでした。
強いて言うなら、普段人目を気にして思い切ったファッションができない人に、街中の人間全部が消せるメガネを渡し、のびのびと着たいものを着て、繁華街を闊歩してもらう、とかでしょうか。
でも「消しちゃってる」から人にぶつかりまくってまともに闊歩できそうにありませんし、そもそもそんな「誰もいない」中でそれをやって果たして楽しいのか、という問題はあります。
これもまだ、いろいろ考える余地がありそうです。
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とりあえず、現時点までは以上になりますが、これをもとに今後バッグデザイナーとして自分は何をやりたいのか、とか、どのカテゴリーが相性が良いのか、といったことをあれこれ考えてみたいと思います。
思いついたことは、またその時点でこちらにまとめたいと思います。
東京「日常をドラマチックにする」バッグ
Saori Mochizuki
デザイナー 望月沙織