捨てる神と拾う神
こんにちは、東京の水玉オリジナルバッグブランド「Saori Mochizuki(サオリモチヅキ)」のデザイナー望月沙織です。
ここまでしばらくオリジナル革のバッグが完成した背景と、それを販売した時の様子をお話ししてきましたが、もう1つ、オリジナル革を生み出すにあたって、大変支えていただいた所がありまして、今日はそれについて少しお話ししてみたいと思います。
先日、インスタグラムに掲載した動画で、オリジナルの革について色々ご説明させていただきましたが、
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実はこの革たちが実際に形になるまでには、相当な紆余曲折がありました。
というのも、一番最初に加工をお願いした会社さんからは、なんとまあ、無視されてしまったんですよね。。。
そもそも最初に「箔加工の革を作りたい!」と思った時に、どうやってその最初の加工屋さんにたどり着いたのか、もう6年以上も前のことになるので記憶が定かではないのですが、とにかく事前に連絡してから会社に伺い、実際に色々加工見本を見せていただきながら、お願いしたいボリュームや金額等のすり合わせまでしたにもかかわらず、いざサンプルをお願いしたら、待てど暮らせど届かないのです。
2、3回、「まだですか〜??」の連絡をはぐらかされたところで、
あぁ、またか、、、
と諦める事にしました。
バッグの業界、結構多いんです、こういう事が。
もしかしたら、バッグ業界、ではなくて、単になんのバックグラウンドもないわたくしがなめられているだけなのかもしれないのですが(そして自分で気づいていないだけで、何か失礼なことをやってしまっていたのかもしれませんが、、、)、ブランドを立ち上げた当初からかなりこういう目に遭ってきています。
門前払いを食らう所も少なくはないのですが、そちらはまだ最初の時点で
「おたくの仕事は引き受けません」
とはっきり言ってくれているので、健全です。
そうではなくて、「できます」という返事を受けた上で無視されてしまうと、こちらも「なんで引き受けたのさ??」という気持ちが湧いてきてしまいます。
よく考えてみたら割りに合わない、など、後から引き受けたくない理由が見つかったのかもしれませんが、だとしても、大人なんですから一言くらい説明があってもいいと思うのです。
・・・とまあ、そんな感じで、オリジナル革計画は1歩目からいきなりつまずいてしまいました。
でもどうしても諦めきれず、どうしたもんかな、、、と途方に暮れながら、浅草橋界隈のいろんな革屋さんをぐるぐるまわってみました。
そして結論からいうと、そのうちの1店が引き受けてくれたのです…!
そこは、ごく一般的な(箔加工などが施されていない)無地の革を在庫で積んで販売しているお店で、一見すると箔加工などとは縁遠いお店のように見えるのですが、店先に売られていたハギレの見切り品の中に、箔加工のものが混じっていたので、ダメ元で聞いてみたのです。
それに対して、なんとなくできるっぽいお返事が返ってきたので、恥を忍んで、これまでの経緯を説明して、本当に引き受けてもらえますか?と伺ってみました。
すると、先方は
「えっと、、、うちから加工に出すのも、結局はOOさんの所(わたくしが無視された会社)になるんですよ。でも、わかっているもの同士が話しをしないとなかなか通らないものもあるので、そこはとりあえずうちに任せてください」
と若干苦笑い、、、。
なるほど。
わたくしは、一見さんお断り的な扱いを受けてしまったということのようでした。
だとしても、だとしてもだよ、だったらなぜ「できる」といったんだー!という怒りはおさまりませんでしたが、もうそれは過去のこと、今は、「できる」といってくれたこのお店を信じよう…!ということで、藁にもすがるような思いで、そのお店に加工を依頼したのであります。
そして実際ちゃんと指定通りのものが上がってきた時には、もうめっちゃ感動しました。
また、リスクの高い「一見さん」であるわたくしを信じて引き受けてくれたそのお店にも本当に感謝しました。
捨てる神あれば、拾う神あり、です。
ただ、、、。
その時も、1コだけビックリ失敗が発生したのです。
もう、なんで毎回こうなんだ、、、って感じですが、その時はあまりのことにわたくしも思わず爆笑してしまった記憶があります。
それについてはまた次でお話ししてみたいと思います。
なかなか一筋縄ではいかないバッグ道であります。
東京「日常をドラマチックにする」バッグ
Saori Mochizuki
デザイナー 望月沙織