「1人が決められた場所で1日8時間労働する」が、できないことを増やしている
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こんにちは、東京の水玉オリジナルバッグブランド「Saori Mochizuki(サオリモチヅキ)」のデザイナー望月沙織です。
だいぶ前から行ってみたいと思っていた東京・日本橋にある「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」に行ってきました。
その理由は、カフェのコンセプトに非常に興味があったからです。
当カフェは外出困難者である従業員が分身ロボット『OriHime』&『OriHime-D』を遠隔操作しサービスを提供している新しいカフェです。私たちはテクノロジーによって、人々の新しい社会参加の形の実現を目指しています。
by「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」HPより
この、
「場に縛られない接客」
という概念は非常に新鮮です。
逆にいうとわたくしは「場に縛られる接客」に散々振り回されて疲弊してきた過去があるので、純粋に
「OriHimeめっちゃ欲しい!」
と思ってしまいました。
OriHimeさえあれば、「接客スタッフをどうしよう、、、」なんてことに頭を悩ませる必要もなく、百貨店の店頭にはOriHimeにいてもらって、モニターで売場の様子を伺いながら、店頭が暇な時は事務所で新作バッグを縫う、なんてことができそうです。
現状だと、百貨店催事が始まってしまうと、最低1週間、どんなに店頭が暇でも、開店時間中はずーーっとそこにいなければならず、うちのようにわたくしが1人でやっているようなところは、それ以外の仕事が全休になるという非常に生産性の低い働き方を強いられてしまいます。
もちろん店頭がめっちゃ忙しくなればいいだけのことなので、暇で時間を持て余すのは単に自分のブランドの力不足ゆえの罰ゲームとも言えますが、駆け出しのブランドや、小規模ブランドには集客の苦労はつきものですから、そこに負荷がかからず売場に挑戦できたらいいな、というのはデザイナーみんなが願うことだと思います。
また出産前後は、そもそも店頭に立つこと自体ができなかったので、出店を断念せざるを得ず悔しい思いもしました。
更には産んだら産んだで、今度は「子供を誰が面倒見るんだ問題」が発生するので、宿泊を伴う遠方の百貨店の催事からはやはり疎遠になりました。
こういうケースにもOriHimeは大活躍してくれそうです。
でも、
「OriHimeを店頭に置きたい」
なんていう提案は、現状の百貨店には鼻で笑って一蹴されそうです。
そう思うと、今の日本社会が陥っている人手不足の問題は、文字通り人がいないというよりも、働きたい、もしくはやりようによっては働ける可能性のある人の存在を、古臭い固定概念が押しつぶしているのではないかと思えてきます。
その古臭い固定概念とは、
自分や家族の健康に問題がなく、身軽にどこへでも簡単に動き回れる人が、1日長時間働くこと
で、百貨店の接客に限らず、現代社会の仕事は、この考え方が前提に設計されているから、ここからちょっとでも外れてしまうと働くことそのもの自体が難しくなってしまいます。
以前のわたくしは、上記の条件がきれいに揃っていましたが、出産前後、なにかしらが欠けることが増え、そのせいで選択肢が一気に狭まる経験をして、このことを痛感しました。
出産に限らず、自身の病気、親の介護、家族の転勤などなど、、、自分の努力だけではどうにもならないけれど、この範疇からはじき飛ばされてしまう人もたくさんいます。
しかしこの、0か100か、みたいな考え方が変わり、さらにはOriHimeのような新しい技術とコンセプトを許容できる環境がどんどん整えば、もっとみんなが生産性高くやりたいことを楽しみながら、楽に働けるようになり、結果人手不足も解消するのではないでしょうか。
もちろんわたくしは、この簡単には変わりそうもないシステムを嘆いてばかりいても仕方がないと思ったので、子供がいてもできる販売の仕組み(実店舗を構えたり、自分で自由にできる会場を借りて、子供も売場に連れて行く)にトライしたり、デザイナー仲間の方達に接客をお世話になったり助けていただいたりと、自分がやれる・やりたい方向性は必死に模索してきました。
でも今回OriHimeを目の当たりにして、わたくしだけに変化を強いるのではなく、社会だって変わってもいいんじゃないか?と強く思ったのです。
と同時に、わたくしももう一回改めて、自分は何をどうしたいのかクリアーにして、そこへ向かっていける導線をもっと自由に引いてみたいと思いました。
ーーー
ちなみに今回わたくし達の席をメインに接客してくれたのは、浜松に住むRieさんという方でした。
浜松と聞いて、
「あっ!浜名湖競艇の冠スポンサーやりたいんです!」
と思わず口走ったら、
「浜松って聞いて真っ先にそれが出てくるのって…」
と笑われてしまいました…(笑)。
映画がお好きとのことなので、どんなのを観ますか??と尋ねたら
「『かもめ食堂』が一番好きです」
とも…!
「あ…ぼく、そのあとの『めがね』撮りました」
なんて話を撮影部長がし始めたあたりで、お時間、となってしまいました。
場の空気に慣れるのに時間を要するお子も、慣れてきて興味がでてきた頃に終了となってしまいましたが、もともとロボットやプログラミングは大好きで、自分でも組み立てたりしているので、また時間を見つけて行ってみたいなと思いました。
みなさまも是非行ってみて、働き方について色々考えてみてもらえらた嬉しいです。
東京「日常をドラマチックにする」バッグ
Saori Mochizuki
デザイナー 望月沙織