オリジナル革が生まれた背景について
こんにちは、東京の水玉オリジナルバッグブランド「Saori Mochizuki(サオリモチヅキ)」のデザイナー望月沙織です。
今日は、先日ご紹介したオリジナル革をつかったバッグにまつわるお話しをご紹介します。
(革の詳細についてはこちらの記事をどうぞ)
上記の記事の中でも少し触れましたが、そもそもこのオリジナルレザーは、冒頭の写真でご紹介した本革のバッグが作りたくて、制作したものでした。
もともとうちのブランドには、アイコン的バッグとして、キューブ型のハンドバッグ「ファムファタール」という商品がありました。
10年ほど前にブランドイメージを刷新して仕切り直した時に一番最初に作ったデザインなので、わたくしとしてもとても思い入れのあるバッグなんですが、当時百貨店などで販売していると、通りすがりのお客さまから、
「布のバッグは汚れやすいから革じゃないとなー」
とか、
「革素材だったら買うのになー」
なんて言葉を投げかけられることがありました。
わたくしとしては自信を持って作り、自信を持って店頭に並べた商品でしたが、やはり「買ってもらってなんぼ」と思うと、心が揺らぎます。
色々言われていくうちに、
「革じゃないから買ってもらえないんじゃないか?」
と落ち込んでいったものでした。
今となっては、はっきりきっぱり、
「そんな意見、聞かんでいい!」
と言えます。
なぜかといえば、それは、買わずに去っていった人の意見だからです。
この辺り、言葉にして表現するのがとても難しいのですが、買わない人っていうのは、買わないで済む理由を探しています。
自分がそうだからよくわかるのですが、人は街中で、一瞬「あれっ」と目を惹く商品に出会ったとしても「でも、もしかしたらいらないかもしれない…」とか、「よく見たら好みじゃないかもしれない…」と思うと、一生懸命その商品の粗探しのようなことをして、買わない自分を納得させようとします。
そういう人の意見をいちいち真に受けていると、ブランドの根幹は思いっきりブレるのです。
うちは、
持っていて楽しい気分になるような華やかな色と柄
荷物をたくさん入れても軽く持ち運べるデザイン
を軸にしているので、そうではないものを求めている人の意見(例えばシンプルで、重厚感ある本革をたっぷり使ったバッグがいい、など)は、程よくスルーするに限るのです。
そういうバッグが欲しいのであれば、うちの売り場でブツブツ文句を言ってないで、そういうバッグを売っているブランドの売り場に行ってくださいね、ということなのです。
一方で、買ってくれた人の意見は、買ってくれて、使ってくれた上でのことになるので、ちゃんと耳を傾けねばなりません。
そして当時、うちのバッグを買ってくれた方は、誰も「革だったらな…」なんてことはおっしゃいませんでした。
もしかしたら面と向かってわたくしに言いにくいということもあったのかもしれませんが、そもそも「革じゃなきゃ嫌だ」と思っていたら、布製のうちのバッグは買っていないと思うのです。
・・・なんですが、
当時のわたくしは結構な勢いで百貨店イベントをやっていたので、いろんな人からいろんなことを言われすぎて思い悩み、持って生まれた負けず嫌いな性格も手伝って、
「だったら革、やってやるよ!!」
となっちゃったんですよね。
…自分で縫えもしないのに!
でもいろんな奇跡が起きまして、形にすることができちゃったのでびっくりです。
そんなこんなについては、また落ち着いて、次の記事でお話ししてみたいと思います(色々言われた当時を思い出して、ちょっと腹が立ってきたりしてました…笑)。
東京「日常をドラマチックにする」バッグ
Saori Mochizuki
デザイナー 望月沙織