とんだ勘違い
こんにちは、東京の水玉オリジナルバッグブランド「Saori Mochizuki(サオリモチヅキ)」のデザイナー望月沙織です。
今日は、オリジナルの箔加工革を作った時の大失敗エピソードをお話ししてみたいと思います。
苦労して、加工してくれるお店にたどり着いた時のお話しはこちら。
わたくしの依頼を引き受けてくださった革屋さんはとても親切で、色々とこちらの要望に対して、できること・できないことを投げ返してくれました。
ちなみにそのお店は、1枚から革を購入する事ができます。
ただ一口に1枚といっても、牛革ですと、牛1頭の背を半分に割った面積(「半裁」と呼ばれていて、業界の単位で、小さくても200dsくらい=およそ1m x 2m)があります。
小ロットで、かついろんな柄に挑戦したいわたくしにとっては、ほんの少し持て余してしまうボリュームです。
そのあたりを(またもや図々しく)ご相談したところ、1枚の中に、数種類の柄を入れる方法を引き受けていただける事になりました。
もちろん、柄ごとに加工賃が発生するので、割高にはなってしまいますが、使うあてのない材料を不良在庫として抱えておくよりかは、はるかにマシなので、その方法でお願いすることになりました。
この時は、黒と紺、2色の革に、それぞれ数種類の加工をつけてもらうことになりました。
黒には、これとあれと…
紺には、それとこっちを…
と、それぞれ指定してお渡ししました。
こだわって、1つの柄ごとに、柄の種類・箔の色を変えたので、指定数だけでも結構な数になりました。
すると担当の方から、
「あの、、、望月さん、1種類だけ、確認なんですが」
と連絡が入りました。「???」と思って聞いてみると、
「この加工指定は、本当にこれでいいんですか??」
と、大変怪訝そう。
「他とは明らかにが質が違う感じの指定なので、大丈夫かな、と思っての確認なんですが、、、」
とのことだったので、わたくしは大笑いしてしまって、
「わははは、大丈夫です、うち、よくそう言われるんですけど、変わってるものが好きなんで、それでやっちゃってください!」
と返しました。
というのも、以前からよく「普通はこんな事やらないんだけど、、、」というのをいろんな方面の方たちから言われてきていたので、今回もまたそんな感じだと思ったんです。
ところが、、、。
今回は、全然大丈夫じゃありませんでした。
心配されていた革は、水玉の穴でボッコボコになった状態で仕上がってきたのです…!!!(冒頭の写真の通り)
実は加工の柄見本の中には、「押し」加工(=革の表面に形をプレスする)と、「抜き」加工(=革を指定の模様通りに抜く)が混じっていて、(よく見ると細かく注意書きはされていたんですが)わたくしは気付かず、柄だけ見て、1種類だけ「抜き」加工で指定してしまっていたようなんです。
担当の方は、それを心配してくださっていたのですが、勘違いで笑い飛ばしてしまったわたくし、、、。
あまりのボコボコさ加減と、軽く自惚れていた自分のダメさ加減に、情けなさよりも笑いがこみ上げてきてしまって、一人でふふふふ…ふふふふ….と、革を握りしめながら震えてしまいました。
あれから6年、先日ものすごく久しぶりにこの革屋さんに連絡をしてみると、当時の担当者の方もまだご在籍で、しかもわたくしのことを覚えていてくださっていました。
そして、
「あの時、ボク、ものすごい失敗をしましたよね、、、」
と、ボッコボコの革のことも覚えていてくださったのでビックリ。
いやあれは御社の失敗ではなく、ひとえにわたくしの暴走のせいなので〜〜〜!!と、6年塩漬けにしていた恥ずかしさがぶわ〜っとこみ上げてきて、それを振り払うかのように、ひたすら謝ってきました。
この申し訳なさに報いるためには、また発注するしかないと思いますし、今度は(産休諸々があったとはいえ)6年も開けず、コンスタントに色々お願いしていけるようにならねばー、と、思うのでありました。
それにしても…。このボッコボコの革、どうしましょうかね…。
東京「日常をドラマチックにする」バッグ
Saori Mochizuki
デザイナー 望月沙織